Material Science / Condensed Matter Physics group at Physics Lab.2006

About Theme

Last Update: Apr.16, 2006

ナノワイヤってなぁに?

最近、ニュースなどでも 「ナノ」 の二文字をよく耳にしますね。これは髪の毛の太さの 1/10000 くらいの世界を表す言葉です。 今回取り上げたナノワイヤとは、こんな細い線のこと。 少し前から話題のカーボンナノチューブ(CNT)もこれのひとつですし、生命の遺伝情報を記録している DNA もそうです。
こんな小さなものを扱うのは難しそうって思われるかもしれません。もちろん CNT を作るには高度な技術が必要です。 私たちの実験ではもっと簡単な方法でつくります。金属どうしを接触させゆっくり離したときに一瞬だけできる細い線、 それが金属ナノワイヤです。金属原子にはもともと互いに結合しようという力が働いていて、これが金属を塊にさせる原動力。 離れていた金属片でも、密着させれば「くっつく」ので、離そうとすると(納豆のように)「糸を引く」のです。 といっても長さはせいぜい 200 nm。時間にしても 1/10000 秒程度で切れてしまいますし、とても目に見えません。
目に見えないものを測る、それが物理学の力。金属ナノワイヤはもともと金属ですから電気を流します。つまり、電気的な 測定が可能ですね。[導電率の量子化理論] で紹介したように、ナノワイヤでも 導電率が量子化されます。くっつけて離せば、徐々にナノワイヤは細くなるので、時間的に階段状に導電率がさがることになります。

実験のヒント

この実験のよいところは、容易につくれることに加え、手頃さ常温で観察できることにあります。 [半導体 QPC ] では極低温に冷やしていたのになぜでしょうか。それは、ナノワイヤのまわりに原子がないこと。半導体 QPC では、 周囲の電子が流れない領域の格子振動を低減させなければなりませんが、金属ナノワイヤではそれがありません。もちろんそのかわりに、 空気中の気体分子が激しくナノワイヤに衝突していますが、金属原子のほうがずっと重いので影響はほとんどないのです。
もう一つ、量子性を見るための条件がありましたね。不純物を減らすことです。半導体 QPC では試料内部にポテンシャルを設計しそこに電子を流しますが、 金属ナノワイヤでは金属そのものに電子を走らせますから、不純物の存在は天敵。 空気中に暴露されている金属表面でつくるので、それを清浄に保たなければなりません。
ナノワイヤ担当:黒田真史