Material Science / Condensed Matter Physics group at Physics Lab.2006

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Last Update: May.21, 2006

液体窒素の沸騰停止

物体には通常 「気体・液体・固体」 という 3つの相(状態のこと)があります。 そしてある決まった気圧下では、 物質が液体から気体になる温度は決まっていて、 沸点と呼ばれています。 水が1気圧中では 100℃で気体になることはよく知られている通りです。 そしてそのときの水を観察すると、 容器の底や側面から激しく泡が立っていますが、 この現象が「沸騰」です。
さて、空気の 80 % を構成する窒素ですが、 1気圧下の沸点は 77 K = -196 ℃ です。 これは室温(約 300 K)よりずっと低い温度なので、 室温に液体窒素を置いておくと沸騰して、 容器の底や側面から激しく泡が出ます。 ここにヘリウムガス* を沸騰している液体窒素に注入すると、 不思議なことに沸騰を止めることが出来るのです。 ただし効果は一時的なもので、注入するヘリウムの量にもよりますが、 だいたい数分といったところです。 非常に単純な現象にもかかわらず、そのメカニズムはよくわかっていませんでした。
沸騰が止まる現象としては他に沸点上昇があります。 これは例えば沸騰している水(100 ℃)に 食塩などを溶かすと沸点が上昇するために、 100 ℃ではもはや沸騰せず、上昇した沸点まで温度が上がる間、 沸騰を止めることが出来るというものです。 しかし私たちの実験により、 液体窒素の沸騰停止はこれとは違う原理によるものであることが裏付けられ、 ついに液体窒素の沸騰停止メカニズムを解明いたしました。 五月祭当日は実際に実験をお見せして、 沸騰停止の原理を説明したいと思います。
* 風船などに入っているとても軽いガスです。
* 吸うと声の高くなるガスとしても知られています。
液体窒素担当:高吉慎太郎